1、どんな仕事が得意か
どんな仕事をやっているか、目指しているかを一口で云うと「マルチメディアを応用したシステム開発、パッケージ開発・販売」。特にCGや画像処理応用において、今まで手掛けられてこなかった新しい、ニッチな領域を開拓し、新軌軸を切り拓きたいと考えています。すでに設立後5期目を迎え、当時新しかったことも現在では普及期を迎えているものもありますが、これからも初心に帰り、常に新しい応用システム開発に挑戦して行くつもりです。また、同時にシステム開発と関連して業種、業務向けのパッケージも開発し、これらの販売も行っています。
当社の得意としている仕事、関心を持っている仕事を以下に紹介します。
大きく分けすると次のような領域です。
・身の回りの商品を対象にした「商品シミュレーション・システム」の開発
・先染め、後染め、ニットなどのアパレルを設計するための「アパレルCADシステム」の開発
・デジタル化が進む新聞社の報道写真画像や、EC商品画像などを生成、保管、検索する「画像DBシステム」の開発
・放送向けのクロマキーボードやシーンチェンジ検出ボードなどの「DTV(デスクトップビデオ)制作ツール」の開発
・これらを統合化した「インターネット商品シミュレーション・システム」の開発
以下に少し詳しく説明します。
2、身の回りの商品シミュレーション・システム
身の回りに存在する商品、たとえば、頭の天辺(例えば髪型)から足の先(例えばスニーカー)まで、人の生活に関係して身の回りにつけたり、衣類のような着る商品などいろいろとあります。広くは日常的に使ういろいろの商品が対象です。
このような商品に対して買う側から見ると、今までの購買行動を考えると、いろいろの角度から商品を見定める楽しさはあってもムダな時間やムリな判断が多いのではないかと思います。消費者は沢山の商品の中から的確に、適切な時間をかけて自分に適う商品を選びたいはずです。また、売る側にとってはハッキリした根拠の下にお客様ひとりひとりに向いた商品を提案し、納得してもらうための説明をしたいはずです。このような観点から売り手に対しても、買い手に対しても手助けできるコンピュータ支援システムを作ることができればメーカ、流通・小売業、消費者にとって大変有効であると考えています。しかもこれらをシステムとして基幹業務、同業との関連、縦の流通システムとも関連したトータルなシステムへと発展できればより効果を発揮でき有益なシステムに成長すると考えています。このような考え方にもとづいたシステムを「商品シミュレーション・システム」と呼んでいます。もちろん、ものを買う、売ると云うコミュニケーションにおける楽しさや信頼関係を築くための新しいコミュニケーション・ツールとして、また1つのメディアとしても提案して行けると考えています。
このようなシステムが有効に機能するかどうかは当社に課題を出して下さるメーカ、流通・小売業の企業が対象商品の機能・特徴・デザインとこれらに関係するお客様の購買行動にかかわる情報をどれほど入手され、どこまで分析されているかに大きく左右されます。1つ1つの商品についてはこれらのシステムの顧客がその商品とお客様に対するノウハウをどのような形でどれくらい持っているか、また、これをベースにシステムにどのように反映させるかがシステムの特徴を決定づけます。ちょうど、沢山の特徴あるお店が現在日本中に、また世界中にあるのと同じように商品シミュレーション・システムも1つ1つ特徴のあるシステムとして存在し、活躍します。
また、投資の費用対効果をどのように考えて行くかも重要な要素です。
この場合、当然のことですが当社はシステム開発という裏方に徹することになります。しかし、このようなシステムを求めるメーカ、流通・小売業の企業、この場合当社の顧客にあたりますが、すべての企業が必ずしもシステム開発の達人をもっておられるわけではありません。そこでシステム開発の類型を多く理解し経験しており、また沢山のツールやネットワークを持つ当社の技術力がお役に立てると考えています。そして、当社に投げかけて頂く課題を具体化し、目標を設定し、顧客の持つノウハウと当社の持つノウハウを出し合い優れた特徴のある商品シミュレーション・システムを開発することができます。
そこで、納得のゆくシステムが開発できたとしてもこのシステムが運用上成功するかどうかはこのシステムを導入される顧客の経営戦略や営業上の考え方に大きく左右されます。意志決定される経営者とシステム活用を進められるシステム責任者、また、実際にお客様と接しシステムを利用される店頭で営業される人達のトータルな力の結集がこのシステムの成果を大きく左右します。
どんなシステムを今まで試作、開発してきたかをその中の一部ですが以下に示します。
・甲府印伝(鹿皮と漆でできた繰り返し柄の小物、例えば名刺いれ)シミュレーション・システム
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・宝石シミュレーション・システム(例3)(株)サンミッシェル南青山殿ご協力による画像表示
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・新車カーシミュレーション・システム/販売支援システム
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3、アパレルCADシステム
当社では設立当初からアパレル関係のデザイン、糸、布などのシミュレーション・システム、製造システムの一部に当たる型紙や写真型を作成する型作成システムなどをお客様のご要望に合わせて開発しています。また、パッケージとして開発し、販売しているものもあります。特に日本の伝統的服飾である和装の普及、発展に寄与するために和装に特化した領域に関心を持っています。これらをまとめてアパレルCADシステムの分野と考えています。
一般にはパターン作成、グレーディング、マーカ作成、裁断などを合わせてアパレルCAD/CAMシステムと呼んでいますが、これらの領域は世界での共通仕様化が進んでおり、海外で開発されたシステムが日本においても普及しています。当社でも関心はあるのですがシステム開発の機会が今までありませんでした。
当社がお客様と一緒に、また指導を受け、さらにこちらからも知恵を出し、一緒にシステム開発したシステム、また当社が開発・販売しているパッケージを以下に紹介します。
デザイン関係ではパッケージとして販売しているものですが、ペイント機能を使い図案を制作したり、デザインのシミュレーションを行い着姿の状態を確認したり、その結果をカタログなどのために活用するファッション・デザイン・システム(FDS)があります。特に着物向けに着物の着姿とひな形状態とを関係付けた使いやすいシミュレーション機能や着物用の意匠部品を活用して効率よく意匠デザインができる着物デザインシステム(KDS)があります。
車のシートや床材を設計する織物、プリント、ニットなどのデザイン、設計指示書作成、生地のシミュレーションなどを行う総合的な染織設計システムも開発しました。織物、ニットなどは織機、編機の種類により方式も異なり、従って設計システムも異なってきます。
布の織り方(組織図)、糸の配色と柄の出し方(経糸、緯糸の配置)、生地の風合いや素材感の出し方など、意匠設計、試作設計、指示書、生地のシミュレーションなどの機能を持つシステムです。
また、和装向けの絣(かすり)設計システムなどの開発も行いました。 絣(かすり)糸は織り上げたときに幾何学的な模様が布として現れるように経糸、緯糸のそれぞれを配置します。地色の他に細かい間隔で数色の色彩で染められた絣糸があり、それらの糸を使い、織り上げてできた布が絣または紬(つむぎ)です。糸を細かい間隔で数色の色彩で染めるためには織り上げた状態を想定した綿密な設計が行われます。これは締め機(はた)といわれる技術です。これらはコンピュータに向いた仕事で、長年の知恵と労力、熟練で生まれた技術をコンピュータ技術でその一部ですが支援して行くことができます。(例4)
また、大島紬独特の方式については地場の人が作成しているホームぺージ「本場奄美大島紬豆辞典」に詳しく紹介されていますのでこれを参照して下さい。
http://www.hf.rim.or.jp/~m_kohno/mame/mame01.htm
また、プリント(織物としての布が出来た後から糸を染める、後染め)には写真型または型紙を使い、原則として一領域一色の型を利用します。写真型はスカーフや洋装のプリント類を生産するために使われます。また、友禅染めの糸目型にも使われます。型紙は友禅染めや沖縄の紅型など沢山の色彩を使う場合に安価に仕上げるために利用されます。この型紙を制作するためには多彩な色彩を使用している領域を色分解し、色毎の領域を決めている輪郭線を抽出しこれをもとに型紙を作成します。
さらに、ニットの柄に対する配色の組合せをデザイナのアイディアを助け、またデザイナだけに頼らずに企画や営業部門の人達でも配色が出来るように色の組合せを論理的に作りだし、選んだ結果をハードコピーとして出力し、作業指示書作成を手助けするカラー・シミュレーション・システムを開発しました。デザイナが感性だけにたより配色の組合せを創造する仕事を特別な技術的専門家でなくとも配色選択が出来るようにコンピュータにより支援するソフトです。もちろん、デザイナにとっても役に立つシステムです。応用としてはニットに限らず、広く配色関係の仕事に役立つと考えています。
これらは職業的なノウハウの固まりであり、研究すればするほど、また多くの人たちに使用していただければ頂くほど深みのある役に立つシステムとなります。
・着物デザインシステム(KDS)
・着物試着システム(KSS)
・染織自動生産システム
・絣設計システム
・ニット・カラー・シミュレーション・システム
4、画像DBシステム
画像DBシステムというのはピンからキリまでいろいろな用途、方式、規模があります。簡単なものではデジカメで撮影したデータを整理するアルバムソフトや簡易DBシステムなどがあり、複雑で規模の大きなシステムになるとサーバー/クライアント型やイントラネット型の大規模画像DBシステムなどがあります。また検索方法と関係する検索エンジン、たとえば形態素解析(参照:http://www.sw.nec.co.jp/APSOFT/FOS/jtopic/index.html)やシソーラス辞書を利用する検索機能を利用したDBシステムもあります。また、画像データ自体を検索する画像DBシステムなども考えられますが当社では実用性を考え現在のところ手掛けていません。
今までこの領域で当社が関係した仕事としては次のようなものがあります。
・放送番組検索システム(C/S型、シソーラス辞書)
・報道写真画像DBシステム(イントラネット型、形態素解析)(例5)
・EC商品画像入力システム (文字情報、画像情報作成用)。
この他に先の商品シミュレーション・システムにおいても商品データの種類、形、色、商品の特徴を表現する形容詞句などの種類が多く、しかも関係が複雑になる場合はDB化し、商品の選択を容易に行うために、このようなDBシステムを備えた商品シュミレーション・システムも開発しています。
5、商品シミュレーション・システムの技術問題
上で述べた「商品シミュレーション・システム」を構築する重要な4つの技術要素をあげると次のようになります。
・商品DBシステム
商品の特徴を説明する文字情報、画像情報、部品や色彩合成のための画像情報、お客様の顔写真や顧客情報などを効率よく生成、保管するためのDBシステム
・商品検索システム
ここでは商品検索システムを利用者の操作全般にかかわる機能として広くとらえることにします。まず、システムを操作するのは誰かと云うことです。お客様ひとりで勝手に操作しながら商品を求めて行くシステム、これとは対局でお店の人がお客様のそばにいて商品の説明をシステムを使いながら行い、お客様の要望を聞きながら一緒に、商品選択を行うために利用するシステムなど多様です。これは人間−機械系対話方式の要件になります。また、画面設計をどのように行うか。Webブラウザーを使うとか、専用の画面を設計するとかがあります。さらに、検索方法として、あいまい検索とか全文検索などの検索方法や検索エンジンの選択、DBシステムとの構成方法などもここでの課題です。
・商品構成要素の部品合成、色彩表示などのシミュレーションにおける表現方法
また、出来るだけ商品の概要や特徴を実際のもののように、または特徴や部分を単に陳列している商品よりもよりわかりやすく見せる表現方法を取り入れた商品のシミュレーションによる表現方式の問題があります。また、紙のカタログでは表現できない、部品間の関係や部品のデザイン上の特徴、色彩などをコンピュータでどのように表現するかと云う課題もあります。参加型のシステムを構築するにはお客様の顔や体の一部を写真に撮り合成処理する方法はここでの課題です。
・画像情報加工方法
さらに、システムの継続性を考えれば適正な維持、発展のコストを追求しなくてはなりません。商品の文字情報、写真情報、合成のための複数のマスク情報をデータとして作成、保守する費用を計算しておく必要があります。商品点数、加工点数、入れ替えの頻度などによるデータ加工費を積算し、費用対効果から予算規模を確認する必要があります。特に大変な作業は部品のマスク作成の仕事です。この作業は対象データの精細さによる作業量や、作業者の熟練度による効率とが大きく影響します。その結果は現実的な運用費と直接関係してきます。さらに、加工作業が大きければ画像データセンターのような役割を持つ施設を常設する必要がでてきます。いずれにしても少しでもデータ作成やデータベース構築を効率化・省力化する方法を継続して検討し、少しずつ改善して行くことが大切です。
6、インターネット商品シミュレーション・システム
これからはインターネットを利用した商品シミュレーション・システムが普及すると考えられます。当社は着々とこのための準備を進めています。web端末や電子商取引システムと組み合わせ、サーバーとしてサービスできるインターネット商品シミュレーション・システムを具体化して行きます。すでに試作版はいろいろと開発しています。具体的な商談があれば即対応することにしています。
このようなパッケージが複合化してお店が出来、お店が沢山集まって商店街が出来ます。これがデジタル化された商店街やモールです。現実的なデジタル・モール、デジタル商店街となります。
最初から電子商取引の機構をシステムとして組み込むのは難しいかもしれません。しかし、クレジットカードによるwebでの売買はすでに日常的なことになっています。
インターネットでは調子の良い話も多いのですが実際に少しでも本当に役に立つインターネット商品シミュレーション・システムを考えるといくつもの問題が出てきます。
・データ伝送速度に見合った商品画像表現の方法
・インターネット固有の問題:接続、レスポンスタイム、セキュリティなどの保証について、このような制約を克服できる利用価値の発見
・シミュレーション機能の負荷分散を端末側とサーバ側にどのように分担させるか
・参加型機能をどのように処理するか。たとえば、お客様の写真、またはその加工写真の扱い
・店舗の形態、たとえば仕入・在庫・代金処理、顧客管理、苦情処理などのあり方
・売り手と買い手の優れたコミュニケーション方法とはどのようなものか。
このような課題や制約の中でも今まで説明してきたインターネット商品シミュレーション・システムはこれらの条件を克服しやすい商品やアイディアを見つけ、順次開発が進むと考えています。当社からもそれぞれの商品について、適切な方法を提案して行きます。.このような商店を開設しょうと考えられるオーナや経営者、先進的なシステム責任者などとどこかで遭遇し、楽しい夢をふくらませる議論が出来ることを願っています。いろいろと具体的な展望を提案し問題を切り開いて行きたいと考えています。
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